寮長のまなざし㊲心が変われば

　読売ジャイアンツやヤンキースで活躍した松井秀喜さんの座右の銘は「心が変われば行動が変わる　 行動が変われば習慣が変わる 　習慣が変われば人格が変わる 　人格が変われば運命が変わる」らしく、星稜高校のベンチに貼ってあるときいたことがある。

　昼間、洗濯室や洗面所、脱衣所で置きっぱなしだった衣類を分類し、自分のものを持っていくよう並べてもらい、私は名無しのバスタオル１１枚とタオル１６枚を自宅で洗濯し、干してきた。家の中がいつも以上に湿っぽくなったが名無しのタオルが並んでいる風景に違和感があった。持ち物に名前が書けない人ほど、持ち物を置いたままで、彼らは風呂の後に体をどうやって拭いているのだろうか。バスタオルやタオルは寮内に打ち出の小槌がありどんどん出てくるのだろうか。なぜ男子はこうも持ち物が管理できないのだろうか。

　中学生の学習時間は比較的学習している寮生が多く、それぞれで思い思いの時間を過ごしていた。
英単語のプリントをiPadでスキャンしたあと、一部を消して繰り返し練習するなど昔なら考えられなかったし、ひたすら数独を解いている寮生もいる。以前、「なんで学習時間に数独ばかり解いているの？」と聞いた時は、「数独を解き続けて成績が上がるかを実験中」と話しており、彼の実験は続いている。４月から入寮した寮生は、「自宅ではすぐに休んでしまいあまり学習ができなかったが、寮では学習の時間が確保されて無理に学習できていい」とコツコツと学習をしている寮生もいる。

　前半はまあまあだったが、後半のスタートにも数人が当たり前のように遅れてきた。
「お前らいつまで当たり前のように遅刻してくるんや」と入り口で強めに指導し、時間の最後に、「消灯時間を過ぎてウロウロしてたら、受付前で徹夜で勉強させるぞ」とイライラ感満載で終了した。ここ数日は消灯後に他の寮生に部屋に行っている報告を受けており、そろそろ行動修正のテコ入れをしなければならないと思っていた。

　心が変わればというが、タオルをほったらかしにしたり、時間に遅れる心はそう簡単に変わりそうもない。どうすれば、心が変わる？