寮長のまなざし⑮Pay it forward.

公開:2025/5/6更新:2025/5/9

連休も終わり、明日から日常が始まる。受付前で作業しながら、帰寮してくる寮生にできる限り声をかけた。というのも、家が居心地が良すぎで、もう寮に行きたくないと言い出す寮生がいないかとちょっとだけドキドキしていた。寮生は予定通り、帰寮してきたが、にぎやかな寮になってきたのが、嬉しい気持ちと、いよいよ再開かと複雑な心境である。

私のGWは東京と京都から大学院時代の親友が富山に来てくれ、存分に笑ったり、食べたり、飲んだりとリラックスしたいい時間を過ごすことができた。友、遠方より来たるまた楽しからずやというところだろうか。

寮生の帰寮を受付前で出迎えていると、予想以上の保護者の方々に、ブログ見ていますという声をかけていただいた。どこかで、連休はすぐ終わると書いてありましたねとか、仕事のスタートにブログを読んでから始めますとか、いつも楽しみにしていますと反響が多いことに驚いている。

出典は定かでないのだが、古代ローマのある皇帝が、犬は生まれたときからワンと鳴き、猫はニャーと鳴き、誰にも教えてもらわなくてもワンやニャーと鳴くが、果たして人間は言葉を教えなかったら、どんな言葉をしゃべるのだろうか疑問に思い、実験をしたという話を聞いたことがある。当時は、貧しかったこともあり、捨て子も多く、捨て子に住居や食事を十分に与えるが、赤ん坊の反応に笑顔や声掛けを一切せずに、どんな言葉をしゃべるか観察したという記録があるらしい。
結果は予想外で、どの言葉をしゃべるかを観察する前に、2年間ですべての赤ん坊が亡くなったという。そこから、人間の赤ん坊は周りからの情報がないと生きられない存在だとわかったそうである。しかしながら、我々大人でも、無視されるのはつらいし、人とのコミュニケーションで人生の豊かさが大きく変わる。
だから、ブログ読んでますと声をかけてもらうのは居心地がいいことになり、それを知っているから、寮生にもあなたを見守っていますよとできる限り声をかけようと思っている。Pay it forward.