寮長のまなざし⑥片付けられない脳と生徒の感性
公開:2025/4/26更新:2025/4/26
本日は中学生の授業参観と20周年記念の懇親会があったため、多くの保護者に来校いただいた。県外からも多くの保護者に来ていただいて、寮生を昼食や買い物に連れ出してくれていた。ちょうど、ある寮生と保護者が食事を終えて、別れるシーンにばったりと出会い、子どもが別れを惜しんで涙ぐんでいるのを見て、普段元気そうにがんばっているが、やっぱり背伸びしているんだなと感じてしまう。この積み重ねが成長なのだろうか。
本日は部屋チェックがあり、新入寮の一年生は全員、合格だったが、ベテラン寮生のうち、男子寮生5人と女子寮生3人が不合格となった。片付けられない寮生にとっては片付ける必要性がないからだとは思うが、寮は一時の借り物で公共の場に近い位置づけであるし、保護者の方々は片付けも含めた社会性を身に付けさせたいと入寮させてくれていると思うから、期待にも応えたい。片付ける方法としては片付けないことへの懲罰ではなく、片付けたことへの成功報酬がある仕組みを作ったり、物の定位置を決めて、物を増やさないなどが、対策になると思うのだが、片付けられない脳とのせめぎ合いはまだまだ続きそうである。
そんなことを思いながら、寮の受付にいるとある寮生がやってきて、「朝の5時に学校敷地内を散歩してもいいですか」と聞いてきた。起床時間よりずいぶん前なので、なんでと聞くと、「朝、日が昇るのを見たいから」と素敵な回答が返ってきた。朝日が昇るのを見てから一日を過ごすなんて、なんて素敵な感性と感心してしまった。
片付けられない脳もあれば、朝日が昇るのを見たい感性もある。20年も学校現場にいながらも、寮生との生活には未だに日々驚きがあり、生徒の感性のなんと豊かなことか。