寮長のまなざし106高貴なる野蛮人
公開:2025/9/6更新:2025/9/7
以前のブログで触れた気もするのだが、大学時代の教育学の講義の中でエミールとかで、「子供は高貴なる野蛮人」というフレーズが記憶に残っている。フレーズが強く印象に残り、意味合いを取り違えているかもしれないが、日々、「高貴なる野蛮人」かと、つぶやくことが多い。
寮の勤務の都合上、私のシフトは毎週金曜日は夜の20時から仕事を開始し、土曜の朝の6時までの夜勤となる。昼間から夕方にかけて、各所から連絡が入るので、20時スタートだと仕事に滞りも発生するので、10月からは夜勤を止め、昼間の勤務に変える予定である。すぐにでも変えればといいたいところだが、勤務予定表の期日までの提出の関係ですぐに変えることができず、規則は規則なので、しばらく現状で乗り切るしかない。
昨夜の金曜は中学生の全体学習後に受付にいると、「ギャー」という叫び声がしたので、「何事?」と様子を見に行くと中学男子が鬼ごっこをして遊んでいるだけで、自由時間とはいえ、紛らわしい叫び声は何とかしてほしい。野蛮人である前にホモサピエンスなんだけどなあ。
23時に中学生がスマホを預けるのを見届けたら、風呂のボイラーのスイッチを切り、その足でレストランへ行き、本日の夕食の摂食状況の確認と、個別指導で使用したテーブルを清掃する。
その後、ちょっとした事務作業をしたあとは、寮内の消灯と見廻りをする。安全のため、階段の電気は点けたままにするが、廊下とトイレの電気を消してまわる。
消灯時間をずいぶん過ぎているので、自室で睡眠をとっている寮生が多いので静かな寮内を電気を消しながら歩いていると、突然目の前に部屋から飛び出してくる寮生がいる。こんな夜中に何を急いでいるのかと思い事情を聞こうとすると、本人の挙動と部屋の様子がおかしいので、部屋を確認すると別の寮生がいた。深夜なので、いつもならすぐに自室に戻すが、消灯後に他の寮生の部屋に行く行動を繰り返して注意している寮生だったので、ロビーまで連れて行って、事情を聞いた。
事情を聞きながらも、本人の弁明より、「高貴なる野蛮人」というフレーズが頭を通り過ぎ、ホモサピエンスは賢い人間という意味なんだけどなあと逡巡する。
エミールに解答が書いていないのかとも思う。
成長期につき、ミスや失敗もあるとは思うが、せめて野蛮人ではなく常識人でいてほしいなあ。