寮長のまなざし93いい湯だな③バババン

公開:2025/8/3更新:2025/8/3

 いい湯だなの話を書こうと思いながら、寮祭と帰省の話題を挟んでしまった。他にも部屋チェックがなかなか合格できない話や保護者の方がわざわざ部屋の片づけの手伝いに来てくださっている話もあるが、本題(?)に移ろうと思う。
 高3寮生以外はほとんどが帰省し、現在、育英センターの小6合宿の石川・福井児童の宿泊受け入れを行っている。夕食の際、ご飯の量を調整するため、ご飯の量はどうするか、児童にきいていると、ある児童が、「〇〇です」と名乗ってくれた。以前の説明会で、私が育英センターの奥田校で塾講師をしていた時の教え子の息子さんがわざわざ声をかけてきてくれた。何てできた子だと思いながらも、下膳のところでは、別の児童が「おいしかったです。ごちそうさまでした」と言ってくる児童もいる。こんな児童ばかりだったら、世の中は円滑に進むのだろうなと思うが、やはりここでもパレートの法則が存在するのだろう。
 で、いい湯だなの話だが、こんなにもったいぶるような話でないので、さらっと書くが、昨夜、寮生も高3だけとなり、ふと消灯後に大浴場に入ってみようかなという発想となった。昨夜は夜の見廻りの時に女子寮の風呂の電気が点いており、まさかこんな夜中に風呂に入っている寮生がいないだろうと声をかけてそっとドアを開けると履物がおいてあり、だれかが入浴している状態であった。女子風呂なので、そのまま確認するわけにもいかず、「消灯をしっかりするように」と大声で伝えたが、二重扉で中には聞こえなかったようで、返事もなかった。風呂内で倒れていたりなどあっては困るので1時間後に再度確認するとドアが開き、消灯もしてあったので、ほっとひと安心だったが、この対応はダブルバインドになる難しい判断になってしまう。
 それが昨夜のことで、今夜はさらに高3生がいないので、小6生の入浴後には大浴場はひとけのない、静かな状況だった。夜、寮室に戻る際に、今からお風呂を沸かすよりこのまま大浴場に入った方が、無駄が少なくていいのではないかと思い、大浴場に入ってみようと思い立った。誤解がないように断っておくが、当然、男子寮の大浴場である。思えば、4月に寮長となって、4か月が過ぎるが、大浴場に浸かったこともなく、風呂桶の補充や、シャワーノズルの取り換え、ハチが入ってきたと言い張る寮生の申し出てハチ退治、実際はハチではない虫だったが、というようにお風呂に浸かったことがなかった。考えてみれば、普段寮生が入る風呂の湯加減も知らなければ、シャワーの具合のチェックもしたこともなかった。
 というわけで、5か月目に初めて寮の大浴場に浸かった。ドリフターズのいい湯だな、バババンと口ずさみたくなるような、いい湯加減だった。風呂が広いというだけで、風呂に入るのは気持ちいい。道理で、ルールを破ってまで、深夜に入浴する輩がいるわけだ。
 だけど、大浴場の気持ちよさを体験してしまったから、今後の深夜の入浴は寮長と(はち)あわせするかもよ。バババン。