寮長のまなざし86コロナとのせめぎ合い

公開:2025/7/20更新:2025/7/20

 一昨日、イギリス語学研修の一行が帰国し、富山空港まで出迎えに行った。何人かの生徒に話を聞くと、「イギリスから離れたくなかった」「自分のホームステイ先は最高だった」など、得難い体験をしてきたようだった。案の定、男子生徒は保護者と連絡とることも少なく、思い出話もたっぷりと語ってくれないのは毎年のことと思うが。
  毎年、海外研修の費用がうなぎ上りとなっているため、今年は機内泊にすることで費用の軽減を図ったが、行きは機内泊の到着後にすぐに観光、帰りもライオンキングを見終わった後、翌日の出発まで時間がなかったとのことで、タイトなスケジュールになってしまった。コロナの流行で一時期中断したが、一貫コースの生徒は学年全員がイギリス行く本校の重要な行事で、時代にあわせて内容のブラッシュアップも必要になってくる。
 一昨年は研修中にコロナ罹患者が出て、日本に帰国できるかソワソワしたし、昨年は現地活動中は大丈夫だったが、日本に着いてから罹患者が増え、何日か学年閉鎖をした記憶がある。今年はタイトなスケジュールなわりには体調不良者も出ていないようで、3連休をじっくりと休んでもらいたいと思う。
 このあと初等科の児童がオーストラリアから帰国するし、イートン校へ短期留学する高校寮生もいるし、カナダ短期留学する中学寮生、イギリスから帰国したばかりなのに、ハワイへの語学研修など、寮生参加の海外研修も目白押しである。それぞれに貴重な体験をしてきてもらいたい。

 感染症といえば、昔は空気が乾燥し、寒くなればインフルエンザが流行るのが日常だったが、新型コロナが入り込んでからは、季節関係なく感染症が発生する。特に、寮は集団生活するので、水際対策は難しく、寮生に注意喚起してもどこ吹く風なので、無理やり全体学習でマスクを着用させることで精いっぱいである。
 おそらくトイレでの感染リスクが一番高く、その次がドアノブの接触が感染の原因と思う。寮は療養施設ではないため、医療従事者も常駐しておらず、罹患者が出たときに充分な対応ができないもどかしさがある。寮生は何かと理由をつけて、自由時間に他の寮生の部屋へ行き、感染リスクを高めてしまう。
 場合によっては、他の寮生と動線の重ならない場所への移動があるが、発病後に対処しても後の祭りで、潜伏期間に地雷がたくさん埋められてしまう。モグラたたき状態になるので、保護者に協力していただいて、迎えに来てもらうか、熱が下がったタイミングで帰省してもらっている。
 寮生の体調管理や食事のことが毎日気になりながら過ごしているが、寮生らは私たちの心配と危機感にどこ吹く風と過ごしていることに複雑な心境になってしまう。