寮長のまなざし84破傷風予防薬がなくなる
公開:2025/7/15更新:2025/7/15
病院の放射線の待合室の前に貼られている言葉の一部である。
「妊娠または妊娠の疑いのある方は、職員に申し出てください」。このように書かれていてただ眺めるのは普通のことと思うが、先日、寮生を整形外科へ連れて行ってレントゲンを撮る時に部屋の前で違和感があった。本日は、頭の左後ろの表面がしびれたままで2日目だったので、かかりつけの病院に行くと大きい病院でCTを撮影することとなり、CT撮影を待つ間もほぼ同じ文章だったので、やはり違和感があった。
違和感があるのは「妊娠の疑い」という表現で、「妊娠の可能性」という言い方のほうがいいと思うのだが、「妊娠の疑い」とい言い方になれば、「妊娠」が悪いことのように感じてしまう。「妊娠」が喜ばしくない人も世の中にはいるかもしれないが、「妊娠」している人にとっては喜ばしい状況だと思うのだが、そこを「疑い」と表現することが私の中ではマッチしない。おそらく、世の中の学のある人々が知恵を絞って作られた貼り紙だから、表現も吟味したと思うが、文字数を減らしたいから「可能性」を使用せずに「疑い」としたのだろうか。
今後も、レントゲン撮影の順番を待つ間は、私の「疑い」は膨らむばかりだ。
先日、高速道のパーキングエリアではトイレに行く途中の貼り紙で「通行注意してください。上からツバメの「運」が落ちてきます」というニュアンスで書かれているのをみて、ニヤリとする場面もあったのだが、言葉は人の気分も左右する。
卒寮生の保護者から、昨日、メールが寮に送られてきた。内容は、「破傷風予防薬ワクチンがメーカー出荷停止になった」という話だった。
破傷風菌は、土、植物、泥…どこにでもいて治療薬はなく、急激に悪化して死ぬようだが、これまでは怪我人が来たら予防投与をやるのが当たり前で、近年は減っていたが、まもなく日本にクスリがなくなるとか。発症したら治療薬はなく、怪我したら、とにかくすぐに、水道水で大量に洗いまくるしかないそうだ。
破傷風は重症化すると10~20%程度なくなる感染症だが、予防に効く薬が出荷停止で感染経路は主に土壌からなので、目処が立つまで積極的に土いじりなんかやらない方がいいらしい。台風や大雨の被災時の片付けや何かに噛まれたり、枝が刺さるのも、とにかく水道水で早期に洗うしか予防策はないそうだ。
これだけ文明、文化が進歩しているように見えても、身近な危険はまだまだ存在するということか。