寮長のまなざし80イギリスで医師する卒業生➀
公開:2025/7/12更新:2025/7/12
明日、2つの部活動でいつもより早く寮を出発するとかで、例のごとく夜の学習時間を免除してほしいという話が寄せられた。寮内のルールとして朝6時より前に出発するケースでは睡眠時間確保のため、学習時間に就寝を認めるケースもあるが、それ以降であれば、通常の学習時間を確保し、日常の習慣を大切にするとクラスルームで全体に案内していた。しかしながら、すぐに休む理由を主張してくる。その理由は2時間の学習時間があると準備の時間がないという。そんなバカな話とは思うが、前半の学習時間に集中して学習できるなら、後半時間は準備や就寝時間に充ててもよいと譲歩した。まだまだ時間管理が上手くないのも事実だろうが、時間管理に厳しくなれば、コントロールもでき、もっと計画的に動けるはずだ。その証拠に該当部活動の中でも3名は自室に行かず、後半も学習を続けた。管理できている寮生もいることを肝に銘じてもらいたいと思う。
本日、卒業生Dくんが、私を訪ねて、学校に来てくれた。ようこそ先輩にも原稿を書いてもらった。今秋に同窓会の立ち上げの総会をするので、1期生は学校にたびたび顔を出してくれるが、2期生はほとんど顔を出してくれないので、まずは顔を見せてくれたことが嬉しかった。
彼は、医学部を卒業したあと、札幌で働き、その後、横須賀の米海軍病院で働き、現在はイギリスで医師として働いているとのことだった。イギリスの病院で働くことで、日本とイギリスの文化や医療に対する捉え方に違いから価値観が大きく広がったのを感じているという。
日本の医療は国民皆保険制度で、安心して国民が医療にかかれるメリットがある一方で、医療者への負担は相当重く、医療者が身を削って医療を支えている感があるという。イギリスでは、プライベートの時間が優先で、残業はほとんどせずに、むしろ残っていると周りから早く帰れと促されるという。
医療の進め方も違っており、日本では患者の主治医を中心に治療計画をもとに治療を続けるが、イギリスではチーム制になっており、同じ患者でもターンが変わると主治医が変わり、治療方針や薬の内容もがらりと変わることになるという。
日本では医療の世界でも師弟関係に重きを置いているところがあるが、イギリスではチーム制でしがらみもないという。日本とイギリスの医療の違いとして一長一短があるようだが、イギリスで専門医資格をとれば、世界で、医療に従事できるのも、イギリスの医療を選んだ理由だそうだ。日本の医師資格を持っていれば、3つくらいのそれなりに難しい国家試験に合格すれば、いいそうである。医療の違いなどを聞かせてもらえたので、次回へつづく。