寮長のまなざし57努力は必ず
公開:2025/6/15更新:2025/6/15
本日は各所で大会があり、嬉しそうに凱旋してきた寮生もいた。中学剣道で上市剣道クラブの一員として出場し、優勝したとのことで、普段物静かな寮生が饒舌に話していたので、よっぽど嬉しかったのだろう。また、高2のテニス部寮生は他校の生徒とダブルスを組み、3位となって北信越大会の出場を決めたというし、寮生ではないが、中2の生徒が弓道の大会の公式戦初出場で優勝し、全国大会の出場を決めたという情報も入ってきた。弓道部は高校と中学の両方で全国大会出場という快挙である。
陸上競技でも県選の出場を決めた寮生もいるが、思い通りのパフォーマンスができなくて、悔しい思いをした生徒もいる。
勝負の世界は負けていいというものではないので、勝利を目指してほしいが、自身のスキルを高める中で必ず学びがあるから、頑張った人ほど悔しいはずだ。
「努力は必ずしも報われない。でも努力しなければ、その可能性も閉ざしてしまう」
私が高等学校の校長だったころ、始業式か終業式の中で在校生に向けて話した内容の一部である。私は大学当初は硬式野球部に所属しており、練習試合に行った立教大学の更衣室に貼られた一節が印象に残っていた。当時の立教大学には長嶋茂雄さんの息子の一茂さんが三塁手でレギュラーで、周りのメンバーは一茂さんの腕の太さに驚いていたが、私はこの言葉が印象に残った。
私は、「努力は必ず報われる」と書かれた通信教育のシールを机に貼り、勉学等に励んだが、特に野球では思い通りの成果が得られなかった。言葉に裏切られたなと忸怩たる思いで過ごしている中で出会った言葉で、こちらの方が正しいとすんなりと収まった。
今年の春の保護者懇親会で、ある保護者から、「私は武島先生の名前が印象に残っていて、というのも自分の息子が、今日面白い話を聞いたとわざわざ電話をしてくれたことがあり、その内容が『努力は…』という話で学校の話をなかなか話してくれない息子から連絡があったので、印象に残っているのです」と話してくれたことがある。全校生徒に向けた話ではあったが、一人でも私の話が心の琴線に触れてくれたのであれば嬉しい限りである。
言葉に裏切られたと思いながらも、私たちは言葉で影響し合い、言葉を食べて生きているようなものだ。