寮長のまなざし㊻気持ちよく過ごしたいね
公開:2025/6/3更新:2025/6/3
学生寮の配管の工事のため、消灯時間の23時に男女との風呂のバルブを閉めるので、23時には風呂の出口に鍵をかけますと数日前から案内した。たいがい、「聞いてない」と言いながらふらふらしている寮生がいるかと思えば、きっちり無人の状態だった。やればできるのでは?
昨日は、大学・大学院時代の同期が富山まで私に会いに来てくれた。現在勤めている大学のサバティカルを利用して、2週間ほど上越市の小学校の実践活動を見るために、新潟の上越市に滞在しており、せっかくだからと車で2時間かけてわざわざ会いに来てくれた。先日も大学院時代の同期が2名来てくれたばかりで、今回の友人は直接会うのは35年ぶりである。懐かしい友人と会うのは嬉しいが、こう頻繁では自分が先の短い人間と錯覚してしまいそうだ。
来てくれた友人は体育科教育のプロで、昔は授業の中でどんな声掛けをどんなタイミングで何回したかを分析した時代もあったが、最近は実践活動の言語化や意図の意識化に重きを置いているようで、良い実践活動の形だけ真似してもダメとのことだった。
昔の教育学の本では、ニューヨークでの実践の話が紹介されており、授業中に立ち歩く児童を多いケースではどのようなかかわりが効果的かというもので、立ち歩く児童に対して、いつもより多めに「立ち歩かないで座りなさい」という指摘を増やすと、立ち歩きがさらに増えて、通常の状態に戻したあと、今度は立ち歩く児童には目を向けずに、しっかり座って学習に取り組んでいる児童に積極的に声をかけたところ、立ち歩きが激減したというものだった。この結果から、児童は肯定的であれ、否定的であれ、無意識のうちに注目を浴びることを好んでいるのではないかとの分析だった。
寮に掃除に来て下さるシルバー人材センターの方々が、男子棟の〇階のトイレではトイレットペーパーを破って撒き散らかした跡があり、今回が初めてではないと怒りモードで伝えてきたそうで、ペットボトルをまとめて捨ててあった袋には中身が飲み残しが入ったままだったり、ペットボトルと缶が飲み残しのまま混在して捨ててあったり、ごみ捨てマナーができていないことも指摘してくださった。悲しいことだが、一人でもマナーが守れない人がいれば、片山学園の寮生はみんなマナーが守れないのではと誤解を生んでしまう可能性もある。
先ほどのニューヨークでの実践事例からすれば、これらの不適切な行動を注意するほどに、不適切な行動が強化されるのであれば、ダメなことをダメとはいえなくなってしまう。行動の過ちの指摘なしに、行動変容をはかることは可能なのだろうか。1万回指摘すれば、1万1回目には変わるかもしれないのだろうか。お互い気持ちよく過ごすためのマナーだと思うが。