寮長のまなざし㊸教えることについて
公開:2025/5/30更新:2025/5/30
普段は教師として、生徒を教え導く立場であるが、自動車学校へ行くと、生徒の立場となる。そこでは生徒の気持ちがよくわかり、いい学びとなる。現在、中型バスを運転するために自動車学校に通っているのだが、オートマに慣れた体は半クラやギアチェンジに体がついていかない。加えて、教官は「じゃあ手本見せるから見ておいて」と模範の運転を見せた後、一回で見本通りの運転を要求してくる。間違えると、ちゃんと見本を見せたでしょ、見てなかったの?と言われると、一回見てすぐにできるなら、自動車学校に通う必要はなく、できないから通っていると思うという言葉を押し殺して、すみませんと謝ることになる。できないことが当たり前でなければ、できなければ、謝ってその場をやり過ごすしかない。
できないことのストレスはこんなに高いのかと思いつつ、今後は生徒に教える時には気を付けなければならないなと感じた次第。
先日、寮生の冷蔵庫を運び出す機会に立ち会って、冷蔵庫は倒して運んではダメだとか、やも得なく倒して運んだ場合は24時間くらい、立てておいたままにしてから電源を入れるとか、知ったかぶりを披露していたら、それらの注意事項が冷蔵庫に貼られていた。冷蔵庫は説明書に記入しても読まないので、そんな風にしているのだろう。では、何で横にしたらダメかというと、冷却ガスが横にして不安定なまま電源を入れると、ガスが抜けてしまうらしく、運搬業者は冷蔵庫を横にしたりしない。
35年前の学生時代は環境問題が盛り上がっていた時期で、オゾン層の破壊は冷蔵庫などに使用されていたフロンが原因で、安定した気体のフロンは今後、30年ほどかけて上昇していくので、今更禁止しても無意味だとか、オゾン層の大きな穴は南極上空だけでなく、北極上空でも発生しているが、軍事的な理由で公開されないとか、怪しげな話題も飛び交っていた。その後、オゾン層の破壊のニュースを見かけなくなったのは、もう心配ないからか、それとも他の理由かは情報の受け手としては知るよしもない。
現在の冷蔵庫の仕組みはロウソクの科学で知られるマイケル・ファラデーが基本原理を発明したことが起こりだそうで、要は気化熱を使って、冷凍、冷蔵する仕組みで200年が経つという。最近は磁石や磁気を使った冷凍・冷蔵庫の開発を進めているそうだが、これが完成したら、冷蔵庫を倒しても大丈夫だし、オゾン層に穴が開く心配も減らすことができる。学ぶことは教えてもらうことだけはなく、自分から情報を集めようとしないと、環境問題のホントウも見えてこない。