寮長のまなざし㊴誰がために寮はある(中)

公開:2025/5/26更新:2025/5/26

本日はバスをチャーターして高岡のショッピングセンターへのツアーだった。希望者は事前に保護者と連絡を取り、保護者から寮に申し込んでもらうという形を取っている。部活動をしている部も多かったが、一つ驚かされたのが、参加申込していた寮生が、キャンセルの連絡もせずに部活動の練習に出かけたことだった。キャンセルの場合、寮へ申し出ないことも問題ではあるが、しっかりと各自でスケジュール管理をさせないとまた同じことの繰り返しとなる。
 「保護者からの連絡はちゃんとあったか」と問い合わせてきた寮生もいたので、申込一覧を事前に貼り出して、申込状況を寮生に事前にフィードバックすればよかったとも思ったが、参加申し込みの一覧を貼り出すのが個人情報の取扱いに抵触するなら、参加者予定者一人ひとりに申込確認書なるものを発行する羽目にもなり、そこまで厳密に扱わなければならないのならば、ややこしい時代になったものだと思ってしまう。
 結局、参加者は寮生の4分の1ぐらいだったが、普段とは違う環境で過ごすことはいい刺激になったと思う。

 寮は何のためにあるのだろう。現時点の一番の長所は通学時間を数分に最小化できることと思う。通学時間を激減させられるので、その時間は自分の時間が確保できる。家庭との違いといえば、中高ともに自分で洗濯することぐらいだろうか。朝の健康チェックと点呼、消灯時間の設定や、学校登校時にプレートをチェックすることもあるが、自分で時間管理できる寮生にとっては、たいへん過ごしやすい寮だとも思う。中学生は夜の全体学習があったり、就寝前にスマホを預けたり、iPadの時間制限もあるが、時間管理を体験、学んでいない中学生が無制限にスマホを使えてしまうのは危険なこととも思う。

 私が大学のころはファミコンのドラゴンクエストのⅡかⅢが発売されたころで、発売直後に手に入れ、友達と夜を徹してクリアに励んだ記憶がある。馬鹿なことにテスト期間中にはまり、復活の呪文でゲームを中断するのが大変だったので、「どうせなら、徹夜でゲームして試験を受ければいい」と安易に考えたが、気づいたらゲームをしながら寝落ちしてしまっていた。正確には覚えていないが、必修のドイツ語の試験終了20分前に教室に到着する始末で、担当の先生に苦笑いされながら、「本当だったら、試験受けられない遅刻だけと、君はふだんから真面目に授業を受けているから特別に試験をうけさせてあげる」と温情で試験を受けさせてもらったこともある。
 自分自身も失敗を続けたから、大きなことも言えない。教師だから聖人君主の道を歩いてきたわけではなく、寄り道しながら、躓きながら何とか進んできた。できるなら、生徒に同じ過ちをせずに若いうちから時間管理の習慣をつけ、自分を律する道を進んでもらいたいと願っている。(つづく)