寮長のまなざし㉗泣いて馬謖を斬る、ほどでもないか

公開:2025/5/15更新:2025/5/15

本日で高校1、2年生の中間考査が終了した。今朝ほどの受付での話だが、最近は高校2年生の男子寮生が朝から自習室を開けてほしいと言うようになり、勉強への意識も高まっているという話があった。寮生が意欲的で頑張っている話題は話す方も聞く方も心地よいものだと思う。

昨夜の話である。23時の消灯時間になっても、男子寮生が2人、スマホを預けに来なかった。寮内のルールではスマホを預けなかった場合には3日間、スマホを没収することになっており、一人は15分遅れて持ってきて、もう一人はそのまま朝まで寝てしまったとのことだった。寝入った寮生はまだ中1だし、一回は警告でもとの思いもよぎったが、譲歩には限界が無くなってしまう。やはり、「泣いて馬謖を斬る」を実践しないと規律を保持できないと3日間のスマホの没収を決定した。

スマホの話は故事ほどの話ではないが、「泣いて馬謖を斬る」とは、中国の魏呉蜀の三国時代に蜀の丞相の諸葛亮孔明が、有望で重用していた馬謖という武将が、孔明の指示に通りに軍隊の配置をせずに、多大な損害を与えたことで、軍律違反で処罰したことからきている故事である。馬謖は軍を率いて、現地に行くと孔明の指示よりも別の場所に軍を置いた方がいいと勝手に判断し、軍を敗退に追い込んだという。現地の状況によっては臨機応変に対応するのは悪くないと思うのだが、孔明は未来有望な馬謖を処分した。蜀の将来を担う重要で必要な武将でありながら、処分したので、「泣いて馬謖を斬った」わけで、何よりも命令違反に対する規律の厳しさを国全体に知らしめた故事として知られている。

問題は15分遅れをどう扱うかだった。15分遅れてもルールはルールで行くか、悩みどころだった。結論を言うと、1日預かりに留めようとことにした。遅れて持ってきた寮生と一晩手元にある寮生は明らかに違うだろうとの判断だった。

日本で駐車違反の切符を切られると、「やられた」と思いながらもすぐに車を移動する傾向があるそうである。ところが、海外のある地域では、駐車違反の切符を切られたところで、「これで今日は一日ずっと気兼ねなく車を置き続けることができる」という思考をする地域があるそうだ。これと同じで、遅刻もアウトと3日間預かりをすると、今日は遅刻したからもういいやという思考になっては困るので、遅れてでも提出しようとする意志を尊重した。

学校の提出物は遅れてでも提出するとOKをくれる寛容な先生もいるが、世の中は期限切れが即アウトがほとんどである。寮生の皆さん、締め切り後の受付はしてもらえないのが世の中の当たり前だと知っておかないと痛い目にあいますよ。