寮長のまなざし㉒ねずみ取りの論理

公開:2025/5/11更新:2025/5/11

昨夜はある学年の寮生が消灯後に友達の部屋に入り込んでいたため、朝一で指導することとなった。
理由を聞いても特に理由は話さずに、黙って口をつぐんだままだった。内心はどう思っているか知る由もないが。
今後、スマホの違反や、寮内の違反行動で指導やスマホの取り上げが出てくることになると思う。そんな時、生徒から出てくる言い訳が、「みんなやってるのに、なんで自分だけ…」という恨み節である。

遠い昔、新聞記者をやっていた時、日課が地元警察署に行くことだった。警察が関係することが一番のニュースになるので、警察に顔を出さない日はなかった。毎日のように警察に行っていると署員の人と話すことも増えて、スピード違反の取り締まりについて交通課の署員が話していたのを覚えている。
スピード違反で捕まる人の言い訳は上り坂では「ここは上り坂だからアクセルを強く踏まなければいけないからスピードがでる」、下り坂では「ここは下り坂だから勝手にスピードがでる」、直線では「ここは直線で見晴らしがいいから、スピードが出る」とどの場所でも必ず、言い訳と文句をいい、こんな場所でスピード違反を取り締まるのは卑怯というそうだ。

自分も高校野球の練習試合に魚津市へ行く際に、下道を走って止められた時には「高速代をケチらなければ良かった」と後悔したこともある。内心、ついてなかったなと思ってしまう。

しかしながら、スピード違反の論理については、世の中のスピード違反を全部捕まえているわけではないが、スピードを出さずに制限速度で走り続ける車は、捕まることは決してないということだ。違反のしない車を止めたりはしない。

同じことで、スマホのルールを守り、寮のルールを守っている人は、「違反している」と指摘されることも、指導されることもない。指摘や指導されることが嫌なら、違反しなければ指摘や指導もしなくて済む。

最近は学習時間への遅刻や、消灯時のスマホの提出に遅れてくる寮生への私の語気が強くなってきている。

指摘や指導をしなくていい日常になればいいのになあ。