寮長のまなざし⑲正しさを自信と武器に

公開:2025/5/10更新:2025/5/10

本日は二度寝をした寮生が1人、点呼に来ずに寝坊した寮生が2人いた。寮室まで声かけに行ってもらったが、3人とも学校へは遅刻となった。受付前では「二度寝しちゃたね」とか「いってらっしゃい~」と声をかけ、寝坊や遅刻を叱咤していない。ミスに対して、責め立てても再発防止にはならず、自分自身で許す方が、再発防止に向けての思考を巡らせるようになるという。遅刻して気まずいのは自分自身だが、繰り返し起こるようであれば、アドバイスも必要だろう。

ある生徒が注文したポロシャツが手元に届かず、間違えて誰かが持っていったか、盗難なのか、それ以外か…。間違えてなら、戻せば済むが、盗難となれば穏やかな話でなくなり、犯人捜しをするとなると、寮生も気分が悪いだろうし、こちらもいい気分ではいられない。

小学校のころに、私は西高岡駅近くの小学校に通っていた。一つ隣の当時賑わっていた高岡駅近辺に行くことを「たかまちへ行く」といい、小学生だけでたかまちへ行くことは禁止されていたが、こっそり行っている仲間はいた。あいつらがいっているから大丈夫と私らのグループがたかまちへ行くと翌日は小学校にばれて、先生から注意された。その後も私が何か違反をすると必ずばれてしまい、まるで誰かが、私が悪いことをするのを止めさせようとしているかのようだった。高校生では高校野球をやっていたので、校則違反などをすると、連帯責任になるから、一切怪しいものには関わらなくなった。どの時期からは定かでないが、何か悪さをすると、ばれないかどきどきする方が面倒だと思い、人から後ろ指さされるようなことをしない方が楽だと感じるようになった。自分に不正や後ろめたさがなければ、どこに行っても堂々と振る舞えるし、そちらの方が楽だと気づき、今に至っている。だから、何かで疑われたりするとちょっとムッとするが、自分にとっては誠実に物事に取り組んでいることが自信と最大の武器になっていると感じている。

ポロシャツについては、勘違いか、盗難かをはっきりさせようということになり、防犯カメラを確認すると、間違えて持ち出していた生徒がわかった。確認すると、盗難でなかったことにひと安心したが、ポロシャツが持ち出された寮生も「見つかってよかった。いいですよ」といって、間違えて持ち出した寮生を責めない器量の大きさを見せてくれた。

毎日のように、予想外のことが起こり、右往左往の日々は続く。旧約聖書には「正しき者は悩み多し」との言葉があるそうだが、正しき道を歩もうとし続けていれば、自信となり、武器になると思う。正しさと誠実さは生きていく上での武器になると信じて、これからも不正に関わることなく進んでほしい。