寮長のまなざし⑨親の小言はあとで効く
公開:2025/4/29更新:2025/4/29
日常の始まりである。本日は、高校3年生の進路ガイダンスがあり、高校3年生の県外保護者の方々も寮に顔を出して下さった。
また、昼過ぎには3期生の卒業生がわざわざ寮に顔を出してくれた。高校を卒業して13年が経ち、31歳になって富山の企業に転職したとのことだった。卒業生が頑張っている姿を見られる瞬間はいつも嬉しい気持ちでいっぱいとなる。
本日は、寮生を学校へ送り出したあとは、発熱した寮生の通院に付き添った。寮長になってからは寮生一人ひとりと面談を行いたいと思っていたが、右往左往の日々で、ゆっくり寮生と話す機会も少ない。だが、通院の車の中では寮生とゆっくりと話をすることができ、発見も多い。
ある寮生は、「中1・中2のころは親から電話があっても、返事もしなかったが、今は親も優しいのでよく話すようになった」と言っていた。「中学受験の時の親は嫌だった」とこぼした。親から見れば、話すこと一つ一つが子供のためとの思いで言葉をかけるが、時に子供には重荷になることもある。
そっち進めば、崖があって危険だとわかっていれば、全力で止めるが、障壁を取り除いて平坦な道ばかりを歩ませては足腰は強くならない。
私も子どもの頃は親からあれこれ言われ、うるさいな~と感じたものだが、母親からは「うるさいと思うかもしれないけど、あんたも親になったらわかるから」と言われ続けてきた。誰しも、はじめて親となり、正しい親の姿を教えてもらったわけではない。子どもが生まれた日から突然、「親になる」。
自分の子供がうたた寝していたら、風邪をひかないように、そっと毛布をかけてあげる。
子どもが好物を平らげたら、そっと自分の皿から分けてあげる。
それは自分が親にしてもらったことで、親からの贈り物を自分の子供に繋げているとある日、気づく。
きっと自分の子も、親になった時に、子どもと過ごす中で、親と同じことをしていることに気づく日が来るのだろう。
親の小言はあとで効く。